
修復へのこだわりと想い
掛け軸、額、屏風の修復は、単に傷みを直す作業ではありません。
作品が歩んできた時間や、そこに込められた想いを尊重しながら、これから先も安心して受け継がれる状態へと整える仕事だと考えています。
中島装錦堂では、まず実物を丁寧に拝見し、紙や裂地の状態、劣化の原因を見極めます。修復にあたっては、必要以上に手を加えず、作品本来の風合いを損なわないことを何より大切にしています。新しくすることが最善とは限らず、「残すべきものを残す」判断こそが修復の要です。
掛け軸では、裂けや浮き、シミの進行を抑えながら、長く掛け続けられる仕立てを行います。額や屏風においても、見た目の美しさだけでなく、構造や素材に配慮し、作品に負担をかけない修復を心がけています。
修復の結果が自然であること。
そして、次に手にする方が違和感なく向き合えること。中島装錦堂は、技術だけでなく「作品を預かる責任」を胸に、一つひとつ真摯な手仕事で修復に向き合っています。
施工事例
事例1:掛軸
Before

真ん中より少し上の右側周辺に本紙と裂に跨って丸いシミが4箇所目立っています。また全体的に本紙・裂ともに焦げて茶色くなっているのがわかります。
After

右側上部にあった丸い4個所のシミはなくなっています。また本紙が洗われて白くなり、新たな裂によってまた違った雰囲気のある掛軸に仕立てられています。
事例2:掛軸2
Before

本紙の下部分にある落款印あたりに折れがいくつか目立っているのがわかります。また全体的に若干本紙・裂とも焦げて茶色くなっています。
After

仮張り(本紙を平らに仕上げるために行う技法)の段階ですが、本紙の下部分にあった落款印あたりの折れがなくなっているのがわかります。また本紙が洗われて白くなり、一文字と中廻しの裂を変えたことで雰囲気がガラッと変わっています。
事例3:額装
Before

本紙の左側が裂けてしまっており、絹の本紙以外にも中縁や小縁のしょう(紙の強度)が時代とともになくなっているため、少しずつ剥がれています。
After

本紙の左側の裂けてる部分が修復されています。また、中縁と小縁には新しい裂を使用していますが、時代感を残した出来に仕上がっております。
事例4:額装→掛軸
Before

本紙の下の部分が少し破れており、全体的にシミが目立ち、時代の影響で本紙が茶色く焦げています。お客様のご要望により、額装から掛軸へ仕立て直します。
After

本紙を洗ったことによりシミがなくなり、全体が白く、破れも修復されています。掛軸に仕立て直したことにより一文字・風袋は金襴で、中廻しは緞子を使用することで、本紙を活かした新たな作品に仕上がっています。
修理参考価格
修復について
当店は、掛け軸修理をはじめ、額装や屏風などの保存修理を専門とする表具店として、創業より85年以上の歴史を重ねてまいりました。
本ページでは、修理の参考価格として、写真付きの事例をご紹介しております。
修理内容は作品の状態やご予算により最適な方法が異なります。
当店では実物を拝見したうえで、プロの目による診断を行い、作品への想いやご希望を丁寧にお伺いしたうえで、複数の修理案とお見積りをご提案することも可能です。
また、ご希望の方には、裂地をあてがった完成イメージを写真でご確認いただくこともできます。
最も大切にしているのは、お客様に十分ご説明し、ご納得いただいたうえで修理を進めること。
信頼関係を第一に、誠実な表具を心がけています。
※参考価格は税抜表示です。


【掛軸の修復 70,000円~】
【掛軸の新規 50,000円~】

【額装の修復 50,000円~】
修復の流れ
まずは掛け軸の状態やご希望をお伺いします。
寺院所蔵品、由緒ある作品、茶席用の掛け軸など、用途や背景によって修復の考え方は異なります。
写真による事前相談も可能ですが、最終的な判断は実物を拝見したうえで行います。
実際に作品をお預かりし、紙質・裂地・傷みの進行具合・過去の修復歴などを専門の目で丁寧に確認します。
作品への思いや、今後の使用目的(法要・展示・茶席など)も大切な判断材料としています。
診断結果をもとに、作品への負担を抑えた最適な修復方法をご提案します。
ご予算やご希望に応じて、数通りの修復案・お見積りを提示することも可能です。
裂地を新調する場合は、完成イメージが分かるよう写真でご確認いただくこともできます。
ご納得いただいた内容に基づき、熟練の技で修復・表装を行います。
必要以上に手を加えず、作品本来の風合いと格を守ることを最優先に作業いたします。
修復後の状態をご確認いただき、お引き渡しとなります。
今後の保管方法や扱い方についてのご相談にも対応しております。
大切にしていること
最も重視しているのは、作品と向き合う誠実さと、お客様との信頼関係です。
十分な説明と対話を重ね、ご納得いただいたうえで修復を進めることを何より大切にしています。
掛け軸の修復の作業
1.洗い(染み抜き)










2.剥がし(本紙)


3.折れ当て


4.穴繕い



寺院・収集家・茶道関係者の皆様へ ― 想い
掛け軸や屏風、額装作品は、単なる美術品ではなく、信仰や精神性、そして長い歴史の中で受け継がれてきた大切な存在です。中島装錦堂では、その背景や意味を深く尊重し、作品にとって最もふさわしい修復・保存を行うことを何より大切にしています。
修復にあたっては、まず実物を丁寧に拝見し、紙質や裂地、傷みの原因を見極めます。必要以上に手を加えることはせず、作品本来の趣や時代性を損なわない判断を心がけています。また、ご依頼主様の想いや用途、ご予算を十分にお聞きしたうえで、複数の修復案をご提案し、納得いただいた形で進めてまいります。
大切な作品を預かる責任を常に胸に、中島装錦堂は真摯な手仕事と対話を重ねながら、次の世代へ安心して託せる修復をお届けします。

掛け軸修復・保存修理を専門とする表具店として、当店は85年以上にわたり技と経験を積み重ねてきました。
作品の状態や背景を丁寧に見極め、それぞれに最適な修復・表装方法をご提案しています。
修復して終わりではなく、今後の保管や扱いについてのご相談まで含めて対応いたします。
大切な作品を安心して任せていただけるよう、誠実な仕事を心がけています。

よくある質問(掛け軸修復)
- 古くて傷みが激しい掛け軸でも修復できますか?
-
はい、状態によって対応可能です。
ただし、劣化の程度や素材によって修復方法は異なりますので、実物を拝見したうえで最適な方法をご提案いたします。 - 修復にはどのくらいの期間がかかりますか?
-
内容にもよりますが、通常は数週間〜数か月ほどお時間をいただきます。
作品の状態や工程によって前後するため、詳しくは拝見後にご案内します。 - 費用はどのくらいかかりますか?
-
修復内容やご希望の仕立てによって異なります。
ご予算や用途をお伺いしたうえで、複数の修復案・お見積りをご提案することも可能です。 - 事前に相談や見積りはできますか?
-
はい、可能です。
写真による事前相談も承っておりますが、最終的な判断・金額は実物確認後となります。 - 茶席や寺院用途に合わせた仕立ても相談できますか?
-
もちろんです。
使用目的や掛ける場に応じて、裂地や仕立てを含めたご提案を行っております。
中島装錦堂の歴史 ~東京から鎌倉へ~
| 創業 | 昭和15年 東京都瀧野川区上中里(現北区上中里) |
| 経緯 | 昭和23年 神奈川県鎌倉市笛田に店を構える 昭和27年 神奈川県鎌倉市長谷に移り現在に至る |

初代 中島敬蔵は日本橋浜町の表具店で江戸表具の修業を積み、昭和15年上中里で『中島装錦堂』を構える。敬蔵の妻は江戸時代、加賀の十三代目前田斎泰公から苗字帯刀(注1)をゆるされ「表具」を名乗る家系であった。敬蔵の義兄 表具弥三次が鎌倉に住む菅原通斉(注2)が所有する常盤山文庫(注3)の収蔵品の表装を手掛けた折、敬蔵もこれを手伝い、両氏は鎌倉に移住することとなった。それ以降、鎌倉の寺社の文化財を多数手掛けており、二代目中島照美が継承し、現在に至る。
(注1)苗字帯刀…江戸時代に武士とその支配側の役人や関係者に許された特権のこと。
(注2)菅原通斉…1894年生-1961年(87歳没)。日本の実業家。フィクサーとしても有名。
(注3)常盤山文庫…初代理事長菅原通斉が古美術の蒐集(しゅうしゅう)をはじめた昭和18年(1943)に創立。貯蔵品は禅僧の墨蹟、中国・日本の絵画、中国の陶器、天神画像の四つを柱とし、国宝、重要文化財、重要美術品を含め、2000点以上の収蔵品を有する。
中島装錦堂の事業内容
掛軸・額・屏風・巻物の表装、襖・障子の張替などの内装工事、オリジナル現代表具・古画修復